今回のコラムテーマは、「クラウドストレージ」です。企業は日々活動する中で、さまざまなファイルやデータを扱います。それは、クライアントへの見積書だったり、社内の規定を記した就業規則だったり、クリエイティブに使うデザインデータだったりします。

クラウドストレージは、それらのファイルやデータを保管し管理するためのITツールです。

今回のコラムでは、「クラウドストレージとは何か」や「ローカルストレージとの違い」、「クラウドストレージを活用するメリット」などを解説・紹介していきます。クラウドストレージに興味のある方は必見です。

クラウドストレージとは

図1

クラウドストレージとは、インターネットを介して利用するデータの保管・管理ツールです。その特徴は、データの保存や管理を手元の端末ではなく、インターネット上で行えることにあります。

例えば、手元のPCで作成した資料を保管するとき、従来の方法では、PC内のローカルストレージや社内サーバーに保存することが一般的でした。

この方法の場合、保管した資料が必要になったときは、ローカル環境からデータを拾い上げます。そのデータを相手に共有したいときは、メールで送ったり、社内サーバーの指定フォルダに格納したり、USBメモリなどの外部機器にデータを移行して直接手渡したりといった方法で、相手とデータを共有します。

クラウドストレージの場合、先に説明した通り、データの保管や管理はインターネット上で行われます。そのため、そのデータが必要になったときは、操作端末をインターネットに接続して保存ストレージにアクセスし、そこでダウンロードやファイル編集などの操作を行います。

また、相手にデータを共有したいときは、そのデータが保管されているストレージの場所、つまり、インターネット上の住所である「URL」を相手に伝えることで、データの共有が行えます。相手はそのURLにアクセスすることで、データの保管フォルダを開くことができ、権限に応じた操作が行えます。

このようにデータの保管や管理、相手への共有について、インターネット上で完結できることがクラウドストレージの特徴です。

ローカルストレージとの違い

ローカルストレージとは、PCなどのハードウェアがその内部に備えているストレージのことを意味します。スマートフォンの「容量」をイメージしていただけるとわかりやすいかもしれません。

クラウドストレージとローカルストレージの違いは、データの保管を行う場所が、「インターネット上」か「手元の端末」かという点にあります。

インターネット上にデータを保管するクラウドストレージに対して、ローカルストレージは手元の端末内にデータを保管します。このように両者は、データ保管において構造的な違いを有しています。

クラウドにアップロードしたデータはどこに保存されている?

クラウドストレージにアップロードしたデータは、最終的にどこに保存されているのか。これはケースによって様々です。

基本的には、どこかにある物理的なサーバーの中に保存されています。

図2

たとえば、あるクラウドストレージのサービスを契約したとしましょう。

その提供事業者が自社でサーバーを保有して管理を行なっているのであれば、クラウドストレージにアップロードしたデータはそこに保存されることになります(図2:A)。

あるいは、その事業者が別の事業者のサーバーサービスを契約していて、そこを借りる形でクラウドストレージのサービスを提供していた場合は、データはその別の事業者のサーバー内に保存されていきます(図2:B)。

サーバーの所在地はどこにあるのか?

最終的なデータの保存先となる物理的なサーバーの保管場所は、基本的に公開されていません。理由はデータのセキュリティを守るためです。

サービスの参考情報として地域名のみ開示するケースもありますが、詳細な住所は確認できないようになっています。

また保管場所は複数の地点に設置されていることも多いです。たとえば、サーバーの保管場所を国内と海外の2拠点に分散し、データ消失時のリスクを抑えているというサービスは数多くあります。

クラウドストレージを利用するメリット

クラウドストレージを使うことで、企業はどのようなメリットが得られるのでしょうか? メリットの中でも一般的なものをいくつか選んで紹介します。

①どこからでもアクセスできること

まず1つ目は、社内外を問わず、どこからでもデータにアクセスできることです。クラウドストレージは、インターネットに接続できる端末と環境さえあれば、どこからでもシステムにアクセスすることができます。

たとえば、自宅や移動中の電車内といった社外の環境からでも、端末と環境さえ整えることができれば、クラウドストレージにアクセスすることは可能です。データへアクセスするにあたって「場所的な制限」を受けづらいので、データを扱う作業を行うとき、自分の都合に合わせて柔軟に業務を遂行できます。

②データ共有が簡便になること

2つ目は、データ共有が簡便になることです。相手にデータを共有したいときは、データが保管された場所のURLを伝えるだけで共有が行えます。「相手に直接データを送る」のではなく、「保管場所を共有する」という仕組みなので、メールにありがちな「容量制限で送信できない」といった問題も起こりません。

③自動でバックアップが取れること

3つ目は、自動でバックアップが取れることです。クラウドストレージサービスの多くは、自動でバックアップを取得する設計となっています。そのため、万が一操作ミスなどでデータが消失しても、バックアップから復元が可能です。格納データの消失はストレージを利用する上で最も懸念となりやすい問題ですが、自動でバックアップが取れるクラウドストレージであれば、そのリスクを限りなく小さくすることができます。

④共同編集ができること

4つ目は、共同編集ができることです。共同編集とは、クラウドストレージにアップロードされたファイルデータを、複数のユーザーが同時に編集できる機能です。

手元の端末に保存されているファイルを編集するのではなく、クラウドストレージ上にあるファイルを編集する仕組みとなっており、そのファイルにアクセス・編集の権限を持つユーザーであれば、編集操作が行えます。編集結果は、そのままクラウドストレージ上のファイルに反映され、他のユーザーからも見える形で上書き保存されるため、ファイルがコピーされることはありません。

従来、共同でファイルを扱うときは、メールで送ったりUSBメモリなどの保存機器で直接渡したりしてファイルを共有し、そのファイルを担当者が手元の端末で読み込んで、編集を行っていました。

そのため、編集のたびにファイルが別のファイルとして更新・保存され、例えば「〇〇 企画資料 Ver1.x」といったファイル名に表れるように、 “OSのバージョン管理のごとく”ファイルのバージョンを更新して、各地点での記録を取る必要がありました。

共同編集では、1つのファイルをみんなで編集できるので、従来の方法のように、更新のたびにファイルが新規保存されることはありません。

また更新履歴はバックアップとして保存されているため、誰かが誤った編集をしてしまっても、履歴を追って復元することができます。

この共同編集機能を活用することで、複数人で1つのファイルを扱うとき、扱うファイルを1つで済ませられるので、編集や管理が楽になります。

共同編集について、以下の記事でより詳しく解説しています。詳細を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

⑤コストが抑えられること

5つ目は、コストが抑えられることです。クラウドストレージは「使った分だけ」を支払うサブスクリプション形式のサービスが大半であり、初期費用やシステムの運用保守にかかるコストが、自社に専用サーバーを構築するオンプレミス型に比べて低いとされています。

中でも長期的な視点で見たとき、コスト面で違いが現れやすいのが「システムの運用保守」です。クラウドストレージの場合、ベンダー側がシステムの管理を担ってくれるので、利用者側は現在のシステムの状態を特に気にせず利用できます。

一方のオンプレミスの場合、自社で運用保守を行う必要があるため、人的コストがかかります。担当者はシステムの状態を定点的に把握し、異常が見られるようであれば対策を講じなくてはいけません。

クラウドストレージであれば、これらの業務はベンダー側がまるごと対応します。利用者はストレージサーバーの運用に人的リソースを投下する必要がないので、人件費の面でコストを抑えられます。

⑥ストレージの容量を気にしなくていいこと

6つ目は、ストレージの容量を気にしなくていいことです。クラウドストレージの容量は、ベンダーに依頼することで簡単に増やすことができます。足りなくなってきたら、ベンダーの担当者に連絡をして容量を増やしてもらえばいいだけなので、利用者はストレージの容量について特段の注意を払う必要がありません。

オンプレミス型の社内サーバーの場合、容量の拡張は容易に行えるものではなく、ハードウェアの調達やメンテナンスによるシステムの一時停止といった課題を乗り越える必要があります。連絡ひとつでストレージ容量を拡張できる点は、運用ベンダーが存在するクラウドストレージならではのメリットといえるでしょう。

⑦常に最新の機能を利用できること

7つ目は、常に最新の機能を利用できることです。クラウドストレージの機能やセキュリティはベンダーによって随時アップデートされているので、利用者は常に最新バージョンのクラウドストレージを利用できます。新しく追加された機能が使えることや、バージョンアップのために社内の担当者が特別の対応をしなくてよいことは、利用企業にとって大きなメリットです。

クラウドストレージの注意点

先に挙げた通り、クラウドストレージを利用することは企業にとってさまざまなメリットをもたらします。しかし、クラウドストレージの利用はメリットばかりではなく、注意が必要となる点もいくつかあります。クラウドストレージを利用するにあたっての注意点を2つご紹介します。

①セキュリティ対策が必須であること

1つ目は、セキュリティ対策が必須であることです。クラウドストレージはインターネットを介して利用するので、インターネットの利用に伴うさまざまなセキュリティリスクが懸念されます。悪意ある第三者によるサイバー攻撃や、URLの誤送信による情報漏えいといったセキュリティリスクが想定され、それらに対し適切な対策を講じなくてはいけません。

また、クラウドストレージは、IDやパスワードといった「ログイン情報」の取り扱いに特段の注意を払う必要があります。セキュリティレベルの高いサービスを契約し、セキュリティに関する設定を万全の状態にしたとしても、ログイン情報が流出してしまっては元の木阿弥です。

利用者に対して注意喚起を促すだけだと、ヒューマンエラーとして情報流出を防ぎきれない可能性が高いので、組織として運用設計の段階で情報流出を防止できるような仕組みを作ることが重要といえます。

②ネットワークがなければ使えないこと

2つ目は、ネットワークがなければ使えないことです。先に説明した通りクラウドストレージはインターネットを介して利用するITツールなので、ネットワークがない環境下ではシステムを利用できません。また、ネットワークが弱すぎるとデータの読み込みに多大な時間を要することになり、業務効率が低下する恐れがあります。クラウドストレージを快適に使うためには、安定したネットワーク環境が必要です。

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