今回のコラムでは「クラウドバックアップ」について解説します。「クラウドバックアップとは何か?」、「活用することで企業にどのようなメリットをもたらすのか?」をまとめました。またクラウドストレージを活用したクラウドバックアップのおすすめ理由も紹介しています。クラウドバックアップに興味のある方は必見です。
目次
クラウドバックアップとは?
「クラウドバックアップ」とは、クラウド上の仮想サーバーにデータを複製・保管してバックアップデータの取得および管理をおこなうことです。クラウドバックアップを活用することで、万が一PC上のオリジナルデータが破損した場合でも、クラウドサーバーから簡単にデータを復旧することができます。
従来のデータバックアップにおける課題
従来、企業のデータバックアップにおいては、HDDやNAS、共有サーバーを用いた方法が広く採用されてきました。しかしこれらの方法は、機器の耐用年数が短かったり、災害などの物理的な衝撃に対して防御策を講じることが難しかったりなど、データの安全性や運用面で様々な課題を抱えていることが指摘されています。
また、従来のやり方では、機器の管理を自社でおこなう必要があり、運用には専門的な知識が求められるため、その対応のために社内の人的リソースを大きく消費してしまうという問題もありました。
クラウドバックアップでデータの安全性を確保
クラウドバックアップは、このような課題を解決するために有効な手段です。
まずクラウドバックアップでは、バックアップデータの保存先となるデータセンターの管理は、サービスの提供元である事業会社がおこないます。そしてこのデータセンターには、セキュリティや施設の管理において、一企業では実現することが難しいハイレベルな保護対策が多数施されており、データの安全性が維持されています。
さらに大元のシステムや設備の運用を事業会社に任せられることも、クラウドバックアップならではの特徴です。自社で設備を構築したり運用したりする必要がないので、スピーディに導入できるほか、初期費用や運用時のコストも低くおさえることができます。
クラウドバックアップが企業にもたらす3つのメリット
クラウドバックアップが企業にもたらすメリットを解説します。クラウドバックアップを活用することで、企業は3つのメリットを得られると考えられます。
①BCP対策の強化
1つ目のメリットは、BCP対策の強化が図れることです。BCP対策とは、自然災害やパンデミックの発生といった緊急事態の状況下に陥った場合でも、速やかに事業を復旧し、事業へのダメージを最小限に抑え、事業の継続性を確保するためのあらゆる取り組みを指します。
「事業継続計画」とも呼ばれ、地震や豪雨など自然災害が多発する日本において、企業が注力すべき重要な活動のひとつです。BCP対策では、守るべき資源を「人」「モノ」「金」「情報」の4種類に分類します。
その中でクラウドバックアップは、「情報」資源の保護に対して高い効果が期待できる取り組みです。
理由は、クラウドバックアップでは、バックアップデータの保存先を遠隔地に設定することが可能なためです。
企業のデータバックアップ管理においては、バックアップの拠点を複数にわけ、かつそれぞれを遠隔地に設定することが重要とされています。そうすることで、一方の拠点が被災しデータが破損したとしても、別の拠点からデータを復旧できるからです。
これがたとえば、クラウドではなくオンプレミスの共有サーバーなどでバックアップデータを管理していた場合、本拠地が被災すると共有サーバーも同様に被害を受けて、全てのデータがいっぺんに消失してしまう恐れがあります。
このような事態を避けるために、バックアップデータは複数の拠点かつ遠隔地で管理することが重要というわけです。
クラウドバックアップサービスの多くは、可用性確保のためにデータセンターを複数用意し、かつ災害リスクを減らす目的で各拠点を遠隔地に設定しています。
災害やサイバー攻撃によって一方のデータセンターが被害を受けたとしても、無事であるもう一方のセンターが稼働するため、サービスが止まるリスクが少なく、かつデータの保全性も確保することが可能です。
データは企業の情報資産であり、BCP対策において守るべき資源のひとつとされています。クラウドバックアップを活用することで、遠隔地管理によってデータの保全性が維持され、BCP対策の強化に効果が期待できます。
②システム管理の工数削減
2つ目のメリットは、システム管理にかかる工数が少なくて済むことです。先に説明した通り、クラウドバックアップでは大元のシステム管理を事業会社がおこないます。
自社運用のオンプレミスだと、「物理的な機器の管理」や「ソフトウェアの更新」といったシステムやサーバーの管理は自社で対応しなくてはいけません。
具体的には、「故障して電源が落ちたので、技術者を呼んで復旧対応をしなくてはいけない」「容量がいっぱいになったので、ハードディスクの追加やサーバーの増設をする必要がある」などの対応を自社でおこなう必要があります。
その点、事業会社が一括でシステムを管理してくれるクラウドバックアップなら、これらの対応は不要です。
もちろん、自社の環境に合わせたシステムの設計や日常的な管理は自分たちでおこなう必要があります。しかし「機能の拡張」や「容量の変更」、「ソフトウェアの更新」などにかかる手続きを事業会社に任せられることは、効率的なシステム管理において大きなメリットといえるでしょう。
「情報システムの業務を担当する人材が社内に少ない」という企業でも、クラウドバックアップであれば少ない人的リソースで導入および運用ができるはずです。
③バックアップ作業の簡便化
3つ目のメリットは、バックアップの作業を簡便化できることです。クラウドバックアップサービスの多くは、自動でバックアップを取得する仕組みを備えています。
「いつ・どの範囲のバックアップを取得するか」の設定を済ませておけば、サービス側で自動的にバックアップを取得してくれるため、ほとんど人手を要しません。
従来のバックアップでは、取得手続きの操作を手動でおこなう必要があったり、エラー解消のためにPCの前で進捗をずっと見守っていないといけなかったりしました。
クラウドバックアップであれば、設定された周期で自動的にバックアップを取得してくれるので、これらの対応は不要となります。これまでよりもずっと少ない工数でバックアップの取得や管理をおこなえるようになるでしょう。
クラウドストレージならバックアップとファイルサーバーを一括で
ここまでクラウドバックアップの概要や企業にもたらすメリットを解説してきました。クラウドバックアップは、BCP対策の強化やシステム管理に投下する人的資源の削減に効果が期待できる取り組みです。
市場にはクラウドバックアップのサービスが数えきれないほど存在し、多くの企業がデータの管理や保護にクラウドバックアップを活用しています。
これらの専用サービスは、多機能でサービスの内容も充実していますが、専用サービスであるがゆえに、周辺システムとの兼用で活躍する製品も多いことが懸念です。(ファイルサーバー×クラウドバックアップシステムなど)
ただでさえ多機能で習熟の難易度が高いのに、管理すべきシステムが増えることでシステム管理にかかる人的コストがかさんでしまうといったデメリットをもたらす恐れがあります。
クラウドストレージなら両方の機能をまかなえる
このような懸念を抱える企業におすすめなのが、「クラウドストレージ」の活用です。
クラウドストレージとは、ファイルサーバーをクラウドで使えるシステムのことで、代表的なサービスだと「OneDrive」や「iCloud」などが挙げられます。
クラウドストレージは「ファイルサーバー」が主な機能のシステムですが、クラウドでデータを管理する性質上、多くのサービスが可用性維持のために基本設計としてクラウドバックアップを実施しています。
クラウドストレージ上で扱われるデータは、事業会社が運営するデータセンターで管理されており、そのデータセンターではデータの消失リスクに備えてバックアップが取得されているのです。
一方のデータセンターが何らかの被害を受け、「稼働が停止」または「データが消失」しても、無事であるもう一方のデータセンターが稼働するため、ユーザーには影響が及びません。
そしてユーザー側で能動的にバックアップを取得する必要もありません。上のように事業会社がバックアップを代行してくれているからです。
システムを一本化
まとめると、クラウドストレージは「ファイルサーバー」と「バックアップ」両方の機能を有したソリューションであるということがいえます。
また、事業会社がバックアップを代行しているため、自動的にバックアップを取得することが可能です。
先に挙げたような「システム管理の習熟」や「管理上の人的コスト増大」といった問題も、クラウドストレージであればシステムの一本化によって解決することができます。
さらに自動でバックアップが取得できるので、バックアップ作業の簡便化といったメリットも享受することができ、システム管理全体の効率化やコストの最適化において高い効果が期待できるでしょう。
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バックアップデータは国際的な信頼度の高い「AWS(Amazon Web Service)」のデータセンターで管理されており、データの安全性維持にも取り組んでいます。
WPS Cloud Proを活用して、クラウドバックアップの実践に取り組まれてみてはいかがでしょうか。