ビジネスのあらゆるシーンで使われているオフィスソフト。「文書作成にWordを使っている」「売上管理にExcelを活用している」という企業も多いのではないでしょうか。

これまでオフィスソフトは、PCにインストールして使用することが一般的でした。近年はそうした「パッケージ版」ではなく、インターネットを経由して利用する「クラウド版」が広く普及し始めています。

今回は、オフィスソフトについて「クラウドで使えるオフィスソフトサービスを比較してみた」というテーマでコラムをお届けします。「クラウド型オフィスソフトを探している」という方はぜひ参考にしてください。

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今回比較するクラウド型オフィスソフトの4製品

今回比較するクラウド型オフィスソフトのサービスは以下の4つです。

①Microsoft 365
②Google Workspace
③OfficeSuite
④WPS Cloud Pro

「法人向けであること」「契約形式がサブスクリプションであること」の2つを基準に、サービスを選定しました。まずはじめにそれぞれのサービス概要を簡単に紹介します。

①Microsoft 365(オフィスソフトのパイオニア、マイクロソフト社が提供)

「Microsoft 365」はマイクロソフト社が提供するクラウド型オフィスソフトです。オフィスソフトのパイオニア的サービス「Microsoft Office」シリーズのサブスクリプションラインで、2011年に「Office 365」の名称でリリースされました(2020年4月に現在の『Microsoft 365』にサービス名を変更)。

「Word」や「Excel」、「PowerPoint」といった業務用アプリケーションの他、「Outlook」や「Teams」など連絡・コミュニケーション用アプリを搭載しています。

②Google Workspace(Web上のコラボレーションに強い)

「Google Workspace」はGoogleが提供するクラウド型オフィスソフトです。元々は2004年に提供が開始されたコンシューマー向けメールサービス「Gmail」がサービスの起源であり、現在のようなビジネス用アプリケーションの総合パッケージ製品となったのは2010年のことです。

その年に「Googleドキュメント」や「Googleスプレッドシート」などのアプリが正式リリースとなり、「Google Apps for Business」という名称のプランが誕生しました。

Microsoft 365と同様に業務用アプリや連絡・コミュニケーション用アプリを搭載しています。

Microsoft 365と大きく異なる点は、Webブラウザベースのクラウド型オフィスソフトであること。Microsoft 365がデスクトップアプリ・Webブラウザ両方からの利用に対応しているのに対し、Google Workspaceは基本的にブラウザでの利用を想定した設計となっています。

そのため、Web上でのコラボレーション機能が豊富です。例えば、Googleスプレッドシートでしか使えないWeb環境を活かした関数などがあります(IMPORTRANGEなど)。

③OfficeSuite(PDF編集機能+ビジネスに必要なオフィスアプリを網羅)

「OfficeSuite」はMobiSystemsが提供するクラウド型オフィスソフトです。文書作成や表計算、スライド作成といった基本的な業務用アプリの他、メール&スケジュールのアプリを搭載しています。

Microsoft 365・Google Workspaceと大きく異なる点が、PDFの編集機能を搭載していることです。それぞれと比較して備えているアプリの数は多くありませんが、仕事で必要となる基本的なアプリは網羅されています。

④WPS Cloud Pro(優れた管理機能を備える法人向けクラウド型オフィスソフト)

「WPS Cloud Pro」はキングソフト株式会社が提供するクラウド型オフィスソフトです。本サイトで取り扱っているサービスになります。文書作成や表計算といった基本的な業務用アプリを搭載しており、OfficeSuiteと同様にPDF編集機能も備えています。

また、法人利用に特化したサービス設計となっており、「組織管理コンソール」という管理機能が付帯している点も特徴のひとつです。組織管理コンソールでは“部門ごとのストレージ分配”や“社外からのアクセス制限”、“操作ログの抽出”といった操作が行えます。

比較プラン

本コラムでは前項で紹介した4つのサービスを比較しますが、サービスのプランによってアプリやストレージの内容が大きく変わるため、各サービスの中から最も平均的なプランを1つ選択して比較を行います。今回選択したプランは以下の通りです。

サービスプラン名
Microsoft 365Microsoft 365 Business Standard
Google WorkspaceBusiness Standard
OfficeSuiteBusiness Extra
WPS Cloud Proライトプラン

クラウド型オフィスソフトの4製品をポイント別に徹底比較

それでは、いくつかのポイントに分けて各サービスを比較していきます。

比較①業務用アプリケーションの種類

まずはじめに搭載している「業務用アプリケーション」を比較してみます。いずれのサービスも文書作成や表計算、スライド作成といったオフィスソフトの基本アプリは網羅していました。クラウドにアップロードされたファイルを複数のユーザーが共同で編集できる「共同編集」も全サービスが対応しています。

【Tips!】共同編集とは?

大きく違いが出たのは、「PDF編集」と「ノート・フォーム作成」の機能。Microsoft 365とGoogle WorkspaceはPDF編集のアプリを搭載していませんが、ノートやフォームを作成できるアプリを備えています。

一方のOfficeSuiteとWPS Cloud ProはPDF編集の機能を搭載していますが、ノート作成やフォーム作成のアプリは備えていません。

業務用アプリの比較においては、「PDFを編集する機会があるか」「フォームを活用する場面があるか」がポイントとなりそうです。

比較②クラウドストレージ

次はクラウドストレージを比較してみます。最も多かったのはGoogle Workspaceの2TBで、次点がMicrosoft 365の1TBでした。1TBは1000GBと同じなので、この2つのサービスは他のクラウド型オフィスソフトと比較して10〜20倍のストレージを搭載している計算になります。

このストレージは1ユーザーごとに与えられます。業務上、非常に容量の大きなデータを多数クラウドに保存しなくてはならないユーザーが多い場合は、Microsoft 365やGoogle Workspaceのように大容量のストレージを搭載している製品が好適といえるでしょう。

一方で、「そこまで大きな容量は必要ない」「別のストレージサービスやファイルサーバーにデータを格納しており、クラウドは流動的なデータしか扱わない」といった場合は、OfficeSuiteやWPS Cloud Proの50〜100GBのストレージでも十分対応できるかと思われます。

また、WPS Cloud Proはストレージの分配機能を備えており、部門やチームごとに容量を配分することが可能です。100GBの容量を無駄なく使えます。

【1TBはどれくらいの容量か?】
1200万画素のデジカメで撮影した写真(1枚およそ4MB)なら、25万枚保存できるほどの容量

比較③社内インフラツール

続いて、社内インフラツールを比較してみましょう。

クラウド型オフィスソフトに搭載されている主な社内インフラ系のアプリは「カレンダー」と「社内サイト」の2種類です。Microsoft 365とGoogle Workspaceはどちらのアプリも搭載しており、OfficeSuiteはカレンダーのみ「Mail&Calendar」から利用ができます。

これら社内インフラ系のアプリはグループウェアに内包されていることも多いので、「すでに利用しているグループウェアに同様の機能が備わっている」という場合はどちらを利用すべきか検討する必要があるでしょう。

まだカレンダーや社内サイトのアプリを利用していないといった場合は、Microsoft 365もしくはGoogle Workspaceを利用することでいずれのアプリも使えるようになります。反対に「利用中のグループウェアで満足している」という場合は、コスト圧縮の観点から見てOfficeSuiteもしくはWPS Cloud Proのほうが無駄がなく好適かもしれません。

社内インフラ系ツールはITシステムの利用状況に合わせて検討するのがよいでしょう。

比較④コミュニケーションツール

次は、コミュニケーションに関するアプリを比較してみます。

クラウド型オフィスソフトで利用できるコミュニケーションアプリは主に3種類です。「Web会議」「チャット」「メール」といった3種類のコミュニケーションアプリが使用できます。Microsoft 365とGoogle Workspaceはすべてのツールを搭載しており、OfficeSuiteはメールのみ「Mail&Calendar」から利用できます。

WPS Cloud Proはいずれのアプリも搭載しておらず、単体だとストレージとオフィスソフトに特化したサービスとなっておりますが、派生サービスである「Wonder Cloud Works」のWowTalkセットプラン(正式名:2製品プラン2)に拡張することで、ビジネスチャットであるWowTalkを連携利用できるようになります(Wonder Cloud Works サービスサイト)。

WowTalkはチャット機能がメインのITツールですが、ビデオ通話や日報、タスク管理などの機能も備えており、連携することであらゆるコミュニケーションの効率化が可能です。

比較⑤管理機能

続いて、管理機能を比較してみます。デバイス管理が行えるのはGoogle WorkspaceとWPS Cloud Proの2つでした。前者はBusiness Standardプランの場合「エンドポイント管理(基本)」の機能を利用することができます。この機能では管理画面から、利用しているデバイス一覧を確認したり端末をブロックしたりすることが可能です。

一方、後者のWPS Cloud Proには「組織管理コンソール」という機能が付帯しています。この機能では、ユーザーの操作履歴の確認やグループごとにファイルの共有範囲の設定などが行えます。また、フォルダのアクセス制限も設定可能です。

WPS Cloud Proの組織管理コンソールは、今回は都合上デバイス管理のカテゴリに分類しましたが、ユーザー管理のほうが意味合いとしては近いかもしれません。

情報保護に関しては、今回ピックアップしているプランではいずれのサービスも利用することができませんでした。ただし補足すると、Microsoft 365とGoogle Workspaceは上位プランで情報保護用のアプリを提供しています。前者が「Azure Information Protection」、後者は「Valut」という名称のアプリで、ともに企業が取り扱う機密情報の保護管理に使用するアプリとなっています。

データベース管理については、Microsoft 365のみが「Access」というアプリを搭載していました。AccessはExcelと似たような使用感のアプリで、「商品情報」や「顧客情報」といった取り扱う数が膨大になりがちな情報をデータベース化して管理するのに活用できます。

管理機能という面から見ると、デバイス管理が重要ならGoogle WorkspaceとWPS Cloud Proが適しており、クラウド型オフィスソフトでデータベース管理も行いたい場合はMicrosoft 365が適しているといえそうです。

ただし、管理機能はプランのアップグレードによって拡張できる場合があります。実際、Microsoft 365は上位プランで「Intune」というデバイス管理アプリを提供しています。したがってクラウド型オフィスソフトのサービスを比較検討する際は、プランごとの比較も踏まえた上で判断ができれば、それがベストといえるでしょう。

比較⑥コスト

※1IDあたりの月額料金(税抜)

最後にコストを比較してみます。4サービスの中ではWPS Cloud Proが最も安い価格となりました。ライトプランは1IDあたり月額300円から利用することができます。また、前項で紹介したWowTalkとのセットプランも1IDあたり月額500円から利用することができ、チャットツールとのセットプランであっても他サービスよりもリーズナブルな価格となっていました。

次に価格が低かったのが、OfficeSuiteです。Business Extraプランは1IDあたり680円で利用できます。Microsoft 365とGoogle Workspaceは1,360円と同額でした。

[2023年5月19日:追記]
日本マイクロソフト社は、2023年4月1日より、法人向けライセンス及びサービスの価格を改定することを発表しました。それに伴い、今回比較プランとして用いている「Microsoft 365 Business Standard」の料金も改定され、1IDあたりの月額料金(税抜)が1,360円から1,560円に値上げされました。

Microsoft 365とGoogle Workspaceは機能の豊富さに比例して、価格も他サービスより高めに設定されている傾向にあります。一方のOfficeSuiteとWPS Cloud Proは機能が絞られている代わりに価格もリーズナブルです(ただし“PDF編集アプリを搭載している”という優位性もあり、必ずしも機能面で劣るわけではない)。

それぞれに一長一短があるので、業務に必要な機能はどのようなものか、予算はいくらまでかけられるか、他のITシステムと重複する部分はないかなど、さまざまな要素から多角的に検討して自社に合ったサービス・プランを選択するのがよいでしょう。

どのクラウド型オフィスソフトも一長一短がある

今回はクラウド型オフィスソフトのサービスを4つピックアップして比較を行いました。コストの比較でも述べたように、それぞれのサービスに一長一短があり、どの部分を“長”・“短”と感じるのかは企業の要望や要件によって異なります

業務用アプリの種類、ストレージの容量、管理機能の充実性、コスト、さまざまな要素を踏まえた上で、自社にとって最も好適だと思える製品を探すのがよいでしょう。

また、各サービスを比較検討する際は、現場での検証が必須です。

なぜなら、クラウド型オフィスソフトは実際に使用してみなければわからないことが多く、場合によってはシステム改修が必要なケースもあるためです。

パッケージのまま利用できればそれが一番スムーズですが、さらなる業務効率化を図る場合、既存システムとの連携を求められることがあります。たとえば、“販売管理システムと表計算ソフトを連携させ、自動で帳票が作れるようにする”などです。

検証なくしてぶっつけ本番での導入は、リスクが高いので避けた方が無難です。

事前にきちんとした設計を組めるよう、無料トライアルなどに申し込み、現場での検証を行うようにしましょう。

クラウド型オフィスソフト「WPS Cloud Pro」を無料で使ってみる

WPS Cloud Proでは、無料トライアルのサービスを提供しております

使用感や機能、他オフィスソフトとの互換性などを事前に確かめていただくことができ、納得した上でサービスの導入に踏み切っていただけます。検証の結果、オフィスソフト側でも改修が必要となった場合は、カスタマイズ対応を提案させていただきます。

クラウド型オフィスソフトを探されている企業様は、ぜひこの機会にWPS Cloud Proの利用をご検討ください。また、製品に関する詳しい説明をご希望の方は、お気軽にお問い合わせフォームもしくはお電話にてご連絡くださいませ。専任の担当者が回答させていただきます。

※本記事の内容は2022年7月12日時点のものです。各サービスの最新情報はそれぞれの公式サイトをご確認ください。