座席表を作成する際、座席の組み方に悩んでいるという方も多いのではないでしょうか。
学校のクラスのように座席順に規則性が求められないときには、作成者の意図を可能な限り排除した「公平な座席表」を作らなくてはいけないことがあります。つまり、ランダムに組まれた座席が必要な場合があるということです。
そういったシーンで役立つのが、乱数を活用した方法です。
今回の記事では、Excelを使った座席表の作り方の【応用編】として、乱数を駆使してランダムな座席表を一瞬で作る方法を解説します。
なお、本記事では、手順の解説にExcelと互換性をもった表計算ソフト「WPS Spreadsheets」を利用します。
▼Excelを使った座席表の作り方の【基本編】はこちら
目次
STEP①名簿を用意し、レイアウトを作成する
基本的な手順は、【基本編】で説明した内容と同様です。
まずはじめに名簿を用意し、続いて座席表のレイアウトを作成します(別シートで作成します)。
1つ異なるのは、今回は名簿の席番号は未入力でOKという点です。
席番号は、後ほど乱数を用いてランダムに出力します。
今回は学校や塾の席替えを想定し、座席の正面に教壇を配置するレイアウトを作成しました。
席番号はあらかじめ入力しておきます。
STEP②席番号をランダムに付与
続いて、名簿の席番号を入力していきます。RAND関数とRANK関数を用いて、それぞれに席番号をランダムに付与します。
RAND関数とは、0<1の範囲で実数の乱数を返す関数です。ワークシートが更新されるたびにRAND関数も更新され、その都度乱数が変化します。
RANK関数とは、範囲内における順位を返す関数です。そのデータが範囲内において何番目に大きいのかを求めることができます。
具体的な流れは以下の通りです。
①RAND関数でそれぞれに乱数を返す
②RANK関数で乱数に応じた順位を返す
実際にやってみます。
STEP③RAND関数で乱数を出力する
名簿の乱数のセルに、「=RAND()」と入力します。()の中は空白で問題ありません。
エンターを押してセルの内容を確定すると、乱数が返されます。
入力したセルを他のセルにもコピーします。
これでそれぞれに乱数を付与することができました。
STEP④RANK関数で席番号を付与する
続いて、乱数を基準にRANK関数を用いてそれぞれの順位を求めます。この順位が、そのまま席番号になります。
RANK関数の構文は以下の通りです。
【構文】=RANK(数値,参照,順序)
数値:どの値の順位を求めるか
参照:範囲はどこからどこまでか
順序:昇順か、降順か
この構文を今回のケースに当てはめると、次のようになります。
【数式】=RANK(C3,$C$3:$C$12,0)
数値:それぞれの乱数なので「C3」
参照:乱数の範囲の中で順位を求めるので「$C$3:$C$12」*
順序:どちらでも可(今回は0で降順とする)
*後ほどそれぞれのセルにコピーするため、参照の範囲は絶対参照でズレないようにしておきます
この数式で、その乱数が全乱数の中で何番目に大きいのかが返されます。
続いて、各セルに数式をコピーします。
乱数の大きさ順に順位が返され、その順位がそのまま席番号として利用できます。
ちなみに乱数は重複することがないので、その乱数を基準に順位を求めると、必ず1〜10位までの順位が付与されます。つまり、同じ順位が与えられることはなく、したがって席番号も絶対に重複しないということです。
STEP⑤座席表にVLOOKUP関数を入力する
席番号の付与が完了したら、先ほどと同様の手順で座席表のレイアウトにVLOOKUP関数を入力していきます。
【数式】=VLOOKUP(F6,クラス名簿!$A$3:$C$12,2,FALSE)
入力が完了したものがこちらです。名簿の席番号に応じた氏名が返され、座席表ができあがっています。
▼VLOOKUP関数についてより詳しく知りたい方はこちらの記事がおすすめです
実際の運用ではどのように利用する?
今回作成した座席表を実際の業務で利用する場合、どのように使えばよいのでしょうか。
使い方の手順は、非常にシンプルです。
RAND関数は、ワークシートを更新するたびに更新されます。シートに何か入力したりするだけでも更新されますし、F9の再読み込みをおこなうことでも関数の更新が可能です。
乱数が更新されることでRANK関数の順位が変化し、順位とイコールである席番号もランダムに更新されます。
ランダムな座席表が必要となったときには、ワークシートを更新したり、シートを再読み込みしたりすることで、乱数が更新され席番号のもとである順位が変化し、座席表がランダムに更新されます。
【注意】使いたい時点の座席表を記録しておく
1つ注意しておきたいのが、ワークシートを更新するだけで座席表が更新されてしまうので、使いたい時点の座席表を記録しておく必要がある点です。
「スクリーンショットをとる」「PDFファイルとして出力する」などして、その時点の座席表の記録を取得しておきましょう。
そうすることで、座席表が更新されても、使いたい時点の座席表の記録を残すことができます。いつ時点のものなのかわかりやすいように、ファイル名に日付やバージョンを付与しておくのもおすすめです。
ランダムな席替えで座席表の作成を効率化
今回はExcelを使った座席表の作り方の【応用編】として、RAND関数とRANK関数を組み合わせたランダムな席替えの方法を解説しました。この方法は公平な席順を組みたいときに非常に便利です。学校や塾の席替えに悩んでいる方はぜひ活用してみてください。
学校や塾の表計算ソフトはWPS Cloud Proにお任せ
「WPS Cloud Pro」は、クラウドストレージを搭載したオフィス互換ソフトです。今回の記事で紹介した表計算ソフト「WPS Spreadsheet」の他に、文書作成ソフトのWriterやスライド作成ソフトのPresentationがご利用いただけます。
Microsoft Officeと高い互換性を有しており、Excelで作成したファイルの閲覧はもちろん、編集や保存にも対応。クラウドストレージとのコラボレーションにより共同編集にも対応しています。また製品の特長として、高度な機能を備えた「PDF編集機能」も標準プラン内でご利用可能です。
オフィスソフト、クラウドストレージ、PDF編集機能というビジネスに重要度の高いアプリケーションをオールインワンで備え、価格は1ユーザーあたり月額300円(税抜)です。
学校や塾の表計算ソフトについて、クラウド化やサポート期限切れによるリプレイスを検討されている方は、ぜひこの機会に活用をご検討ください。