オフィスソフトの使い方を解説する本企画、「HowToオフィスソフト」。

今回の記事では、「Excelを使った座席表の簡単な作り方」について、Excelと互換性がある表計算ソフト「WPS Spreadsheets」を用いて解説します。

この企画は基本編と応用編の二部構成となっており、本記事では基本編としてVLOOKUP関数を使った座席表の作り方を紹介します。

応用編では、乱数を活用してランダムな座席表を一瞬で作れる方法を解説する予定です。

会社や学校のクラスで用いられることが多い座席表は、Excelの関数を使うことで簡単に作成することができます。関数を使えば一部の入力作業が自動化されるため、異動やクラス替えがあったときもスムーズに新しい座席表が作成できます。

「Excelを使った座席表の作り方が知りたい」「関数で作業を自動化したい」という方はぜひ参考にしてください。

STEP①名簿を用意する

Excelを使った座席表の簡単な作り方STEP①の図

まずはじめに名簿を用意します。席番号、社員番号、氏名の順に項目を設定し、表を作成しましょう。なお、この順番は、後々使用する関数の値にかかわるため、この通りの順番で作成してください。

また、今回の方法では、名簿と座席表でシートを分けて作成します。名簿用のシートを作成しておきましょう。

STEP②座席表のレイアウトを作成する

Excelを使った座席表の簡単な作り方STEP②の図

続いて、座席表のレイアウトを作成します。名簿とは別のシートに作成してください

今回は、2つの島があるオフィスを想定してレイアウトを組みました。このレイアウトでは、1つの島に最大6名が座れます。

枠線がついている箇所が座席です。

このようにレイアウトを枠線やセルの色付けで区別すると、わかりやすい座席表が作成できます。

STEP③席番号を入力する

Excelを使った座席表の簡単な作り方STEP③の図

レイアウトを作成したら、それぞれの座席に席番号を入力していきます。

どの座席にどの席番号を入力するのかは自由です。今回は左上から順に1,2,3…と入力しました。

そうすると、名簿上では社員が10名しかいないので、右下の2席が余ります。使わない席はグレーアウトなどセルに色付けしておくと、誰も座らない席であることがわかりやすくなります。

STEP④VLOOKUP関数で社員番号と氏名を求める

Excelを使った座席表の簡単な作り方STEP④の図

続いて、いよいよ関数を入力していきます。

今回は使用する関数は「VLOOKUP関数」です。

VLOOKUP関数とは、指定したデータ範囲を縦方向(列)に検索して、検索値に対応する値を返してくれる関数です。

今回のケースでいえば、席番号に応じて、社員番号や氏名を返します。

つまり、席番号が〇〇の場合、社員番号〇〇や、氏名〇〇を返してくれるということです。

VLOOKUPは返す値を入力したいセルに入力するので、社員番号と氏名を入力するセルに関数式を入力します。

社員番号はセルB3、氏名はセルB4に記載したいので、それぞれにVLOOKUP関数を入力します。

STEP⑤社員番号を求める

まずはじめに社員番号(セルB3)へ入力する関数式からみていきましょう。

VLOOKUP関数の構文を確認した後、具体的な数式を組み上げていきます。

VLOOKUP関数の構文は以下の通りです。

【構文】VLOOKUP(検索値,データ範囲,列数,検索方法)

検索値:データを検索するとき、どの値を参照するか
データ範囲:どの範囲のデータを検索するか
列数:データ範囲の中で何列目のデータを指定するか
検索方法:完全一致(FALSE)か近似一致か(TRUE)

Excelを使った座席表の簡単な作り方STEP⑤の図

ポイントは、取り出す値を縦方向、つまり列数で参照する点です。VLOOKUPのVは「vertical=垂直」を意味します。

列数を数えて値を取り出すので、列数にはアルファベットではなく「データ範囲の何列目か」を示すための数字を入れる必要があります。

例えば、取り出したいデータが、データ範囲の4列目にあるのであれば、列数は4と入力するということです。

この構文を今回のケースに当てはめると以下の通りになります。

Excelを使った座席表の簡単な作り方STEP⑤の図−2

【数式】=VLOOKUP(B2,名簿!A3:C12,2,FALSE)

検索値:席番号なので「B2」
データ範囲:名簿のデータを参照するので「名簿!A3:C12」*
列数:求めたい値である社員番号はデータ範囲の2列目にあるので「2」
検索方法:完全一致で求めたいので「FALSE」**

*「名簿!」は別シートを参照して数式を扱う場合に表示されます。意味としては「名簿という名称のシートから指定した範囲を参照する」ということになります。
** VLOOKUPの検索方法は基本的にFALSEを使用します。近似一致を示すTRUEは返す値にブレが生じるためです。例えば100という値が検索値だったとして、TRUEを用いると99や101などの近似的なデータも抽出対象として認められてしまい、正確なデータが得られません。

この数式で、席番号に応じた社員番号を求めることができます

上記でいえば、席番号「1」に対応する社員番号は「101」なので、VLOOKUP関数で求められていることがわかります。

STEP⑥氏名を求める(注:絶対参照の付与)

Excelを使った座席表の簡単な作り方STEP⑥の図

続いて、氏名(セルB4)を求めていきます。数式は社員番号を求めたときと同様なので、社員番号のセルをコピーして利用します。

ここで1つ注意しておきたいことが、絶対参照のために「$」記号を付与しておくことです。

数式内の「検索値(席番号)」と「データ範囲(名簿)」は、社員番号も氏名も変わらないので、$を付与して絶対参照となるようにしておきます。

絶対参照にすることで数式をコピーしたときにも参照範囲がズレなくなり、他の座席に数式をコピーしたときの調整作業が格段に楽になります。

Excelを使った座席表の簡単な作り方STEP⑥の図-2

絶対参照を付与したら、氏名を入力するセルに先ほどの数式をコピーして貼り付けます。

続いて列数を変更します。コピーしたままだと列指定が社員番号の列数である「2」になっており、社員番号が返されてしまうので、氏名の列数である「3」に変更します。

具体的な数式は以下の通りです。

【数式】=VLOOKUP($B$2,名簿!$A$3:$C$12,3,FALSE)

そうすることで、3列目の値として氏名の列が参照され、該当社員である「中島 亮整」が返されます。

STEP⑦他のセルにコピペ(注:検索値の手動調整)

Excelを使った座席表の簡単な作り方STEP⑦の図

社員番号と氏名を求めることができたら、セルをコピーして他のセルに貼り付けていきます。

Excelを使った座席表の簡単な作り方STEP⑦の図-2

コピー時に1つ注意点があります。それは、検索値を手動で調整しなくてはいけない点です。

先ほど、検索値に絶対参照($)を付与しました。そのため、他のセルにコピーしても検索値は変更されません。つまり、セルB2(席番号「1」)を参照したままになっているということです。

検索値は、それぞれの席番号に対応させる必要があります。座席の数だけ、社員番号と氏名のセルの数式にある検索値を変更しなくてはいけません。

今回のケースでは18個あるので、手動で調整するのは手間がかかりますが、一度枠を作成してしまえば、あとは名簿を変更するだけで座席表に自動出力されるようになります。

Excelを使った座席表の簡単な作り方STEP⑦の図-3

各セルに入力が完了したものがこちらです。各座席に、席番号に準じた社員番号と氏名が出力されています。

作成した座席表は実際の運用でどのように利用する?

今回作成した座席表を実際に運用するとして、どのように利用することになるのでしょうか?

例えば、それぞれの席番号に配置する社員を変更してみるとします。

席番号1の座席には〇〇を配置して、席番号2の座席には〇〇を配置するといった具合です。

Excelを使った座席表の簡単な作り方。実際に利用してみたイメージ

名簿シートの社員番号と氏名を変更してみます。

Excelを使った座席表の簡単な作り方。実際に利用してみたイメージ

座席表のシートを確認してみると、名簿の変更に合わせて座席表の内容が自動で変更されていることがわかります。

このように、VLOOKUP関数を活用すれば、元のリスト(名簿)を変更するだけで自動で座席表を作成・変更することができます。

▼VLOOKUP関数についてより詳しく知りたい方はこちらの記事がおすすめです

座席表はExcelで簡単に作れる。関数を使えば運用の自動化も可能

座席表はExcelやWPS Spreadsheetsのような表計算ソフトを使って簡単に作成することができます。関数を活用すれば一部更新作業も簡便化され、業務効率化に有効です。

また今回は【基本編】という形で、Excelで座席表を作成する方法の基礎的な内容をお届けしました。次回の【応用編】では、今回の基本編をベースに学校の席替えなどで役立つランダムな座席表を一瞬で作る方法を解説します。

会社の表計算ソフトはWPS Cloud Proにお任せ

「WPS Cloud Pro」は、クラウドストレージを搭載したオフィス互換ソフトです。今回の記事で紹介した表計算ソフト「WPS Spreadsheet」の他に、文書作成ソフトのWriterやスライド作成ソフトのPresentationがご利用いただけます。

Microsoft Officeと高い互換性を有しており、Excelで作成したファイルの閲覧はもちろん、編集や保存にも対応。クラウドストレージとのコラボレーションにより共同編集にも対応しています。また製品の特長として、高度な機能を備えた「PDF編集機能」も標準プラン内でご利用可能です。

オフィスソフト、クラウドストレージ、PDF編集機能というビジネスに重要度の高いアプリケーションをオールインワンで備え、価格は1ユーザーあたり月額300円(税抜)です

会社の表計算ソフトについて、クラウド化やサポート期限切れによるリプレイスを検討されている方は、ぜひこの機会に活用をご検討ください。