予算など経済的な事情から、「オフィスソフトを無料で使いたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。今回のコラムでは、無料で使えるオフィスソフトサービスを4種類紹介します。
マイクロソフト社のOfficeシリーズや、オープンソースで完全無料で使えるサービスなど、さまざまなオフィスソフトをピックアップしました。各サービスの紹介部では、サービスの特徴や無料で使う場合の注意点などを解説しています。
また記事の後半では、無料版のオフィスソフトをビジネスで使うことは現実的に可能かどうかについても触れています。無料で使えるオフィスソフトをお探しの方はぜひ参考にしてください。
目次
無料で使えるオフィスソフトおすすめ4選
無料で使えるオフィスソフトサービスとして、以下の4サービスをピックアップしました。各サービスの特徴について、詳しく解説していきます。
サービス名 | 特徴 |
---|---|
WPS Cloud | WPS Officeシリーズの個人向けクラウド版。文書作成や表計算など基本的なオフィスアプリに加えて、PDF編集の関連機能が使える |
Office Online | Microsoft Officeの無料版。WordやExcel、PowerPointが利用可能。Officeとの互換性を気にすることなく使える |
Googleドキュメント | Googleアカウントがあれば誰でも利用可能。有料プランとほぼ同等の機能が使える *有料版との差は容量の多寡や管理機能の有無 |
LibreOffice | 完全無料のオープンソースサービス。図形描画ソフトや数式エディターなど独自のアプリケーションを搭載 |
①WPS Cloud
「WPS Cloud」はキングソフト株式会社が販売・提供するクラウド型オフィスソフトです。全世界に5億人のユーザーをもつ「WPS Office」シリーズのクラウド版であり、その中でWPS Cloudは個人を対象としたサービスとなっています(法人版は「WPS Cloud Pro」という名称であり、本サイトで提供しているサービスです)。
WPS Cloudでは3つのプランが提供されていますが、無料で使えるフリープランにおいては、文書作成ソフトや表計算ソフト、スライド作成ソフトのほか、PDF編集・閲覧機能が利用可能です。有料プランと比べて使える機能に制限はありますが、フリープランでも基本的なオフィスアプリは一通り使うことができます。
またその中で、PDFの編集に関連した機能が使える点はWPS Cloudならではの特長です。WPS Cloudひとつで、DOCXやPPTX、PDFなどさまざまな拡張子をもったドキュメントファイルの編集操作がおこなえます。
さらに、WPS Cloudはクラウドストレージとのコラボレーション機能も搭載しており、フリープランでも1GBのストレージが利用可能です。クラウドストレージの関連機能である、「共同編集」や「30日間のバックアップ機能」もフリープラン内で使うことができます。
利用環境については、フリープランの場合はWebブラウザとモバイルアプリから使うことができます。デスクトップアプリは有料プランから使用可能となっているため、デスクトップアプリでオフィスソフトを使いたいという方は注意が必要です。有料プランである「プレミアムプラン」は、1年間の契約で月額380円(税込)となっています。
Webサイト:https://www.wpscloud.jp/
②Office Online
「Office Online」は、マイクロソフト社が提供する「Microsoft Officeシリーズ」の無料版サービスです。Office Onlineでは、WordやExcel、PowerPointといったOfficeシリーズのオフィスアプリを使用することができます。
使える機能は一部制限されていますが、Officeシリーズのオフィスアプリを使えることはOffice Onlineの大きな利点です。互換性を気にすることなく、無料でオフィスソフトを使うことができます。
作成したファイルは、クラウドストレージである「OneDrive」にリアルタイムで保存される仕様となっており、保存されたファイルを複数のユーザーで編集できる「共同編集機能」も利用可能です。
利用環境については、Webブラウザにのみ対応しています。そのため、利用にあたってはインターネット環境が必須です。
Webサイト:https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/free-office-online-for-the-web
③Google ドキュメント
「Googleドキュメント」はGoogle社が提供するオフィスソフトです。正確には、Googleドキュメントは文書作成ソフトを指しており、OfficeシリーズでいうところのWordに該当します。それ以外のExcelやPowerPointにあたるものとしては、それぞれ「Googleスプレッドシート」と「Googleスライド」があり、これらはGoogleアカウントを所有していれば誰でも無料で使うことができます。
Googleシリーズのオフィスソフトは、ブラウザでの利用を前提とした「フルブラウザサービス」です。Googleドキュメントで作成したファイルは、クラウドストレージの「Google Drive」に自動保存されます。ブラウザでの利用を前提としているため、インターネット環境が必須です。
有料版は「GoogleWorkspace」という名称で提供されており、基本的には法人での利用を想定したサービスとなっています。
個人版との主な違いは、1ユーザーあたりのクラウドストレージの容量が大きい点と、ビジネス向けの管理機能が備わっていることの2点です。
個人版でも幅広い機能を使うことができ、使用可能なオフィスソフトの機能も有料版と差がないので、組織的に使わない限りは個人版でも十分に使うことができるでしょう。
Webサイト:https://www.google.com/intl/ja_jp/docs/about/
④LibreOffice
「LibreOfice」は、オープンソースソフトウェアの開発をおこなう団体「The Document Foundation」が開発に携わるオープンソースのオフィスソフトです。2011年に開発が終了した「OpenOffice」の後継ソフトであり、海外製ですが日本語にも対応しています。
特徴は、オープンソースソフトウェアのため完全無料で使える点と、Microsoft Officeと互換性を有している点の2つです。
文書作成ソフトとして「Writer」、表計算ソフトとして「Calc」、スライド作成ソフトとして「Impress」を備えており、それぞれWordやExcelで作られたファイルと互換性をもっています。
またそのほかにも、図形描画ソフト「Draw」や数式エディター「Math」など、他のオフィス互換ソフトにはない機能もいくつか搭載しており、さまざまな業務に対応可能です。
注意点としては、利用にあたってサポートを受けることができない点が挙げられます。例えば、WPS Cloudではメールとチャットによるサポートが提供されており、何か困ったときにはベンダーを頼ることができます。
しかしLibreOfficeは特定の企業が提供しているサービスではないため、トラブルや疑問にぶつかったときは独力で何とかしなければなりません。
ソフトウェアに強い人であれば大きな問題になる可能性は低いかもしれませんが、そうでない場合、安定した使用において見過ごせない懸念となる恐れがあります。
Webサイト:https://ja.libreoffice.org/
無料のオフィスソフトはビジネスに使えるか
ここまでに紹介した無料のオフィスソフトサービスを、ビジネスで使うことはできるのでしょうか? もしもビジネスで使えるのであれば、ITシステムの利用にかかるコスト負担を低く抑えるために非常に有効です。
しかし結論からいうと、これらの無料版オフィスソフトをビジネスに使うことは難しいといえます。その理由は大きく分けて2つです。それぞれ詳しく解説していきます。
①使える機能に制限がある
無料版オフィスソフトは、使える機能が制限されていることが多くあります。例えば、Office Onlineでは、パスワード付きファイルの閲覧や、一部のレイアウト機能が使用できません。これら以外にも制限されている機能は数多くあり、プライベートでの簡易的な利用なら十分かもしれませんが、ビジネスで使うには機能的に足りないと感じる可能性が高いといえます。
またビジネスでオフィスソフトを利用する場合、有料プランを契約している、もしくはパッケージ型のオフィスソフトを購入している企業がほとんどです。そういった企業とビジネスを進める際、オフィスソフトで使える機能に差があると、「先方ではできることが、こちらではできない」といったようにファイル操作に関して障害が発生し、仕事が円滑に進まなくなってしまう恐れがあります。
②管理機能がなく、セキュリティに弱い
無料版のオフィスソフトには、アカウント管理の機能がついていません。個人での利用を想定したプランとなっていることが多いためです。
法人としてオフィスソフトを利用する場合、アカウント管理の機能はセキュリティの維持において重要な役割を果たします。「操作ログの抽出機能」や「アクセス制限機能」といったセキュリティ機能を活用することで、より安全にオフィスソフトを使用することができます。
無料版ではそもそも環境自体が個人向けのものとなっており、組織としてアカウントを管理するという概念が存在しません。そのため、何か問題が起きたときも会社としてその内容を追求することが難しく、重大なインシデントに繋がる恐れがあります。
検証するなら「トライアル利用」がおすすめ
「使える機能に制限がある」「管理機能がなく、セキュリティに弱い」といった理由から、ビジネスで無料版オフィスソフトを使うことは困難といえます。
もしも、本格導入に向けた検証目的で無料のオフィスソフトを探しているのであれば、無理に無料版オフィスソフトを使うのではなく、法人向けサービスの「無料トライアル」を活用するのがおすすめです。
いざというときスムーズに有料プランへ移行できるほか、専任の営業担当がつくことも多いので、導入前の疑問も事前に解消しておくことができます。
月額300円で使える法人向けオフィスソフト「WPS Cloud Pro」
「WPS Cloud Pro」は、月額300円(税抜)で使える法人向けオフィスソフトです。オフィス互換ソフトとして12年連続No1を獲得している「WPS Office」シリーズ(*1)の法人向けクラウド版であり、オフィス互換ソフトに加えて1ユーザーあたり100GBのクラウドストレージがお使いいただけます。さらにログ抽出やアクセス制限、ライセンス管理など管理機能も充実。
必要十分な機能と高いコストパフォーマンスを兼ねそなえたWPS Cloud Proで、オフィスソフト環境の最適化に取り組んでみませんか?
*1 BCNランキングデータ:2010年4月~2022年3月(BCNランキングデータをもとにキングソフト株式会社が集計) KINGSOFT Office、WPS Officeでの実績