高機能なクラウド型オフィススイートは便利な一方で、「多すぎる機能を使いきれない」という問題に直面することがあります。

使わない機能に対しても当然コストは発生しているため、機能とコストのバランスをどのように取るのかは企業にとって重要な課題といえるでしょう。

この課題に対応するためにおすすめの取り組みが、「部門や従業員ごとにオフィスソフトを使い分けること」です。

本コラムでは、WPS Cloud Proを活用したオフィスソフトの最適化について紹介します。

「オフィスソフトのサービスを使い分けるとはどういうことなのか」「具体的にどれくらいのコスト削減が見込めるのか?」などについてまとめました。

高機能な現代のクラウド型オフィススイート

クラウド型オフィススイートとは、オフィスソフト機能を中心にビジネスに役立つ様々なアプリケーションを備えたクラウドベースの総合ITソリューションです。

代表的なサービスでいえば、「Microsoft 365」や「GoogleWorkspace」が挙げられます。

近年のクラウド型オフィススイートは、各社で機能拡張や外部サービス連携が進んでおり、1つのサービスで十数個ものビジネスアプリが使えることも少なくありません。

この「多機能さ」は、現代のクラウド型オフィススイートにおけるひとつの特徴といえます。

多機能すぎる?

1つのITソリューションで様々なビジネスアプリが使える点は、企業がIT環境を整備する上で非常に便利です。

別々にソリューションを用意する必要がなく、「これさえ契約しておけば問題ない」というように簡単に業務のIT環境を整えることができます。

しかし一方で、現代のクラウド型オフィススイートは使える機能が豊富であるがゆえに、「多機能すぎて使いきれない」という問題に直面するケースがあります。

実際に社内の利用状況を振り返ってみると、「一部の機能しか使用していない」「特定の部門だけが、その機能を使っている」というように、クラウド型オフィススイートの活用状況に課題を感じている企業も一定数いるのではないでしょうか。

例えば、Microsoft 365の一般法人向けプランである「Microsoft 365 Business Standard」では、WordやExcelのほかに、データベース管理ソフト「Access」や簡易DTPソフト「Publisher」といったアプリが使用できます。

これらはある特定の業務を遂行するために有用なアプリですが、機能が特化している分、使用できる業務も限られています

Accessであればプログラマーが、Publisherであればデザイナーが主に使うことになり、営業部や事業部に属するビジネスパーソンが日常業務で使う機会は少ないアプリといえるでしょう。

使わない機能に対してもコストは発生する

しかし、一部の機能やアプリしか使用しない予定であっても、プランのラインナップ的に最も適するものがそれしかないといった場合、たとえAccessやPublisherを使わなくても、そのプランを契約するしかありません。

その場合、使わない機能に対して料金を支払うということになります。

全ての機能を使いこなすのは難しいですが、使わない機能があまりにも多いことはコスト削減の観点から問題です。

「使わない機能の分だけ、コストが無駄に発生してしまう」ということになります。

オフィスソフトの使わない機能に対してコストが発生していることを示す図
図1

業務内容や従業員に合わせてオフィスソフトを使い分ける

このような課題を解決するためにおすすめの取り組みが、「オフィスソフトを使い分けること」です。

業務内容や従業員の特性に合わせて配布するオフィスソフトを分別することで、「使わない機能を契約してしまう」ということが減り、機能やコストの最適化に取り組むことができます(図2)。

オフィスソフトの使い分けイメージ図
図2

具体的には、WordやExcelなど基本的なオフィスアプリしか使わない従業員にはシンプルな機能のオフィスソフトを配布し、そうではない特定の機能やアプリが必要な従業員には、多機能なクラウド型オフィススイートのアカウントを付与するということです。

このように配布するオフィスソフトを分けることで、会社として「使わない機能のプラン」を契約することがなくなり、無駄なコストを減らすことができます。

シンプルさが特徴のクラウド型オフィスソフト「WPS Cloud Pro」

WPS Cloud Proは、シンプルな機能構成が特徴のクラウド型オフィスソフトです。

WPS Cloud Proでは主に、「オフィス互換ソフト」「クラウドストレージ」「PDF編集機能」といった3種類のビジネスソリューションを使うことができます。

オフィス互換ソフトでは、文書作成ソフト「Writer」、表計算ソフト「Spreadsheets」、スライド作成ソフト「Presentation」といったオフィスアプリが使用可能です。

各アプリはMicrosoft Officeのファイルと互換性を有しており、Officeファイルの閲覧や編集に対応しています。

月額300円で使えるから共存運用が組みやすい

WPS Cloud Proは「メーラー」や「Web会議システム」、「データベース管理ソフト」といった機能を搭載していません。

その代わりに、プランの料金設定が「1IDあたり月額300円(税抜)」と低く抑えられています。

このようにWPS Cloud Proは機能構成がシンプルであることに加えて、ID単価が低く設定されているため、多機能かつ高価なクラウド型オフィススイートと共存させる運用が構築しやすいです。

WPS Cloud Proを多機能なオフィススイートと共存させる場合の全体イメージ図
図3

具体的には、「業務上、幅広い機能やアプリを必要とする」という部門には多機能なクラウド型オフィススイート(例えば「Microsoft 365」)を与え、「基本的なオフィスソフトが使えれば問題ない」という部門にはWPS Cloud Proを与えます(図3)。

部門や従業員が必要とする機能に応じてオフィスソフトを使い分け、それぞれのサービスを共存させる運用を社内に構築することで、機能とコスト両方の最適化を図ることができます。

従業員数100名の企業なら年間100万円以上のコスト削減が見込める

実際のところ、WPS Cloud Proを活用してオフィスソフトを使い分けることによってどれくらいのコスト削減が見込めるのでしょうか?

従業員数100名の企業を例に検証してみましょう。

<比較に用いるプランとその料金(税抜)>
・Microsoft 365 Business Standard:1,560円 / ID / 月
・WPS Cloud Pro:300円 / ID / 月

従業員数100名の企業が、WPS Cloud Proをオフィスソフトの共存に活用した場合のコスト試算を表した図
図4

100名の従業員全員に「Microsoft 365」を与える場合、年間のコストは累計で187万2,000円(税抜)です。

30名の従業員には「Microsoft 365」を与え、残りの70名には「WPS Cloud Pro」を与えるといったようにオフィスソフトを使い分けた場合、年間のコストは累計で81万3,600円(税抜)となります。

両方を比べてみると、年間にかかるコストの金額差は105万8,400円(税抜)となり、WPS Cloud Proを活用してオフィスソフトの使い分けを実践することで、年間100万円以上のコスト削減が見込めることがわかりました(図4)。

WPS Cloud Proでオフィスソフトの最適化に取り組んでみませんか?

DXの重要性が叫ばれる昨今、ITソリューションの活用は企業の成長に欠かすことができません。しかし、だからといって予算を無駄に割いていいわけではなく、むしろ積極的に運用を見直してコストの最適化に取り組むべきといえます。

クラウド型オフィススイートも同様です。部門や従業員によっては、実は使っていない機能がたくさんあるかもしれません。導入当初とは社内の事情が変わっているケースも多いでしょう。

この機会に社内のオフィスソフト環境を見直し、使用する機能とコストの最適化に取り組んでみてはいかがでしょうか。大きなコスト削減を実現できるかもしれません。